大阪取引所(OSE)の短期金利先物であるTONA3か月金利先物の利用が拡大している。背景には日銀のマイナス金利解除と今後の金融政策変更期待がある。また、3月に金利スワップとのクロスマージンを実現させるなど利便性向上に向けた施策を続けていることも功を奏して、市場に参入する投資家層がますます増加・多様化しており、国内外の機関投資家がヘッジやスペキュレーションのために建玉を積み上げている。2024年の一日平均取引高は7,566枚であり、建玉残高は38,912枚まで右肩上がりで積みあがっている(2024年6月6日時点)。
TONA先物の清算値段から計算されるレートを、各限月で並べると以下のとおりとなる。1年前や、今年の初めのまだマイナス金利政策が残っていた時期と比べると、カーブが大きくスティープ化している様子が見て取れる。
2024年6月限(金利参照期間は2024/6/19~9/17)と2024年12月限(金利参照期間は2024/12/18~2025/3/18)において、それぞれ建玉残高が1万単位を超えており、この限月の指す時期の金融政策に関する市場参加者の思惑が交錯した結果、取引増加につながったと推察される。
※TONA先物のレートは「100-清算値段」で計算した値を表示。
日本銀行はTONAを0~0.1%で推移するように促すと金融政策決定会合でアナウンスしており、直近の2024年3月限(金利参照期間は2024/3/20~2024/6/18)が示唆するTONA3カ月金利は,、上図のとおり0.0775%であり、0~0.1%のレンジ内にある一方、2024年6月限(金利参照期間は2024/6/19~9/17)以降の限月が示唆するTONA3カ月金利は0.1%を超えており、限月によって差はあれど市場では利上げを一定程度織り込んでいるとみられる。
このようにTONA先物の値を見ることで、市場の織り込む短期金利の先行きを見通すことを助けるツールとして活用することができる。こうした価格発見機能の提供に加えて、円金利のリスク管理手段としての役割をより一層果たしていくべく、大阪取引所としては、今後も市場の利便性向上を行うとともに、流動性の向上を目的に国内外の機関投資家のスムーズな参入をサポートしてく方針。
<TONA3か月金利先物に関する詳細情報>
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